02/じゅんじぃのクッキングスタジオ/いつかとろとろにできたらいいな

僕が作る料理を決める基準はいくつかある。

まず、食べたいなと思えるものであることが最低条件となっている。ただ、このハードルはあまりにも低く、ここでつまずく選手はきくらげくらいなのでハードルと呼べるかも怪しい。(どうしてきくらげだけがハードルにつまずくのかは、また機会があったときに書こうと思う。)

低い低いハードルを越えた後は、作り方を見るようにしている。今のところ、「切る」、「焼く」くらいでできるものがいいなと思っているので、煮るだとか捌くといった工程がある料理はとりあえず飛ばすことにしている。

そうして僕の目に留まったのは、今回の主役であるオムライスであった。

オムライスという言葉を聞いただけで笑顔になってくるから不思議である。小さいころから食べてきたオムライスであるが、今回チャレンジするオムライスはただのオムライスではない。そう、卵がとろっとろのオムライスである。

お店でこのオムライスが出てくると、すごくテンションが上がる。半熟という響きがそもそもおしゃれだし、この半熟卵の滑らかな口当たりがケチャップライスの酸味と合わさりそれはもうたまらない味となる。

これが作れたらもうそれは料理ができる人なんじゃないかと思う。

最短距離で料理ができる人になりたい僕は、オムライスに飛びついたのであった。

具材を準備するのはさほど苦労しなかった。ソーセージやピーマン、玉ねぎにウインナーなど食材を切っていくのだが、黙々と切る作業は嫌いではなかった。1cm角に切ると書いてあるから頑張って切ろうとするのだが、ゴールを意識する段々と1.2cm、1.5cmと具材が大きくなっていってしまう。

後から振り返ると、ここで粘り強く具材を切り刻めたかが重要だったのだと思うのだが、その時の僕にはそれがわかっていなかった。だって、おなかがすいていたのだから。

具材の準備ができた。ここからは立ち止まることが許されない、1本勝負!

ソーセージ、野菜をまずは炒め、その次にご飯を入れる。

ここで僕は大事な言葉を見落としていた。

「ソーセージ、ピーマン、玉ねぎを順に加えて」

「順に」という言葉を気にも留めず、先ほど切った具材を僕はフライパンに放り込んでしまったのだ。具材には火が通るまで時間にかかるものとそうでないものがあるという認識がなかったため、とにかくすべての具材を平等に扱った結果、何が起こったかというと…。

焦げた。

本の通りの時間で炒めているはずなのに、徐々に焦げ付きはじめ、そうかと思えばまだ生焼けの具材もあったりして、「生焼け」と「焦げ」という究極の二択の前に僕は後者を選択した。

ハンバーグの時から焦げは慣れっこだった。

この生焼け問題には炒める順番以外にももう一つ原因があるようだった。僕の切った具材はとにかく形が不ぞろいで、かなり主張してくるサイズのものから、ぎりぎり視認できるくらいのものまで様々で、それは同じ具合にはならないだろうという状態だった。

そう、空腹を言い訳にズルをしたツケがここにきてやってきたのだった。

そんな反省をしながらも、ご飯の部終了。続いてお待ちかねの卵の部に突入した。

本の通りに火加減と時間を調節し、菜箸で卵を混ぜるイメージトレーニングも行い、いざ勝負!!と卵を入れた瞬間、悪い意味で、信じられない光景が広がった。

きれいな濃い黄色の液体だった卵がフライパンに降り立った瞬間、一瞬で白みがかった黄色に変わり、かき混ぜる動作をするごとにそれはオムライスの上に乗るにはふさわしくない姿へと変貌していったのだった。

ちなみに本では30回ほどかき混ぜると書いてあったのだが、目の前にスクランブルエッグができるのに3回もかからなかった。

混乱した頭と、脱力した体を何とか奮い立たせ、フィニッシュへと向かった。とりあえずさっき作った焦げ多めのケチャップライスの上に出来立てホヤホヤのスクランブルエッグを乗せ、最後の気力を振り絞って写真におさめた。

そこからはひたすらそれを口へと運ぶ作業と化した。思っていた味には程遠く、卵はとろっとろではなくパッサパサ。買い出しから調理からいろいろやった結果がこれかと落ち込んでいるのとは裏腹に、お皿はすぐに空になった。

第2戦も苦い結果となってしまったが、具材の切り方について意識できるようになったのは大きな一歩ではないかと思う。

オムライス作りを通して、料理には対応力が求められることを痛感した。イメージしているものと目の前に広がる光景が必ずしも一致しない中で、それでもゴールを目指して手を動かし続けなければいけない。

だからこそ、事前にしっかり準備し、作戦を練ってから料理に挑む必要がある。

そんなに気を張らないでも料理ができるようになりたいけれど、それはまだしばらく先の話になりそうだ。

とりあえず、次の料理のために一つだけ作戦を決めた。

卵を使わない料理にチャレンジしようと、固く誓った。