02/離島にいるということ/ぽつんとスナック

ここは一体どこなのか。繁華街の隅にある雑居ビルの一室のようにも見えるこの場所は、海士町にいくつか点在しているスナックの一つである。

この夜に、彼と同じようにスナックで熱唱している人はほとんどいない。このスナックの外に出てみれば、店内の盛り上がりが嘘であるかと感じるほどにあたりはしんとしている。

もうこんな時間だ。この後は、家が近ければトボトボと歩いて帰れるが、だいたいの人はタクシーを呼ばなければならない。どちらにせよ、電灯もほとんどない真っ暗闇の中を帰ることになる。海も山も、そこにあふれているはずなのに何も見えない。

夜のスナックで唄っている時に、「島にいること」なんて一切頭をよぎらない。ただ、目の前の画面に表示された文字に沿って熱唱することに全てをかけるだけだ。