04/離島にいるということ/漁火ワンダーランド

飲み会の帰りだろうか。暗い夜道からふと海を見渡すと地平線には光源がずらりと並んでいる。漁火だ。港からぞろぞろと出て行ったイカ漁船から放たれた光がここまで届いている。

しかし辺りは真っ暗で、海も空も同じ色をしている。その境界にあるのは水平線で、我々が見えているよりもっと先まで海と空は続いている。一方で、イカ漁船がどれだけ奥に行こうが、途方もなく続いている地平線を前にしてはそれは些細な距離に過ぎず、我々に見えている光源は動くことはない。

手前に影となって見える陸があるからこそ、境界の手前にあるのは海だと認識することができる。いや、もしかするとそんなことは勘違いで、それは海ではなく空なのかもしれない。そして、もっと手前に本当の水平線があって、そこにやっと海があるのかもしれない。そうなると、見えている境界線はなんなのか。空と空の間に境界なんてものはあるのだろうか。

そんなものがないことはわかっている。わかってはいるが、島の夜の海にはそんなワンダーランドが潜んでいるんじゃないかと思いたくなるほど楽しい飲み会だったのだ。