04/島に辿り着くまでの旅/中国への旅

いつからか、外国人観光客を季節関係なく街でよく見かけるようになった。バイト先である個人経営の小さな定食屋では中国語、韓国語のメニューが活躍していた。それに、街中に限らず日本人でもあまりいかないマイナーな場所に外国人がいたりすると、よくこんなところ知っているなと感心する。

訪日外国人の半分は韓国と中国かららしい。それでも日本人は韓国へ海外旅行にいく人はいても、中国にいく人は少ないように思う。そんな訳で、ゼミの合間をぬって中国に行こうと思った。4泊5日である。それにしても中国は大きい。どこか行きたいところは特別ないので、ちょっと行きずらそうで面白そうなところにした。パソコンでうろうろ探して見つけたのは、中国は湖南省の張家界と鳳凰。張家界には世界自然遺産、鳳凰には本当かどうか知らないが中国一美しい街といわれる鳳凰古城がある。

まず新千歳空港から上海浦東国際空港に飛んで中国に入国。そのあと地下鉄で国内線のある上海虹橋空港へ向かいそこから最寄りの空港である荷花空港へ飛んた。

荷花空港には深夜についた。張家界のゲストハウス近くまでタクシーで行き、暗い路地を迷いながらうろうろ歩いて到着した。移動で疲れたのか、すぐに寝た。

翌朝、建物の陰で薄暗い屋台でご飯を購入した。今回の旅行では日本ではまだ一般的ではなかったQR決済をしてみたかったため、予め日本にいる時にWeChat Pay(微信支付)をダウンロードして、入金しておいた。注文し、壁に貼ってあるQRコードを微信で読み取り、支払い。支払いが終わると店員のスマホから音がなり完了。人生初のQR決済は、中国の小さい屋台であっさり終わった。

今回の旅行ではほとんどは微信で支払いをした。ここは使えないだろうというような見た目のところでも、壁に無造作に貼ってあるQRコード一枚で支払いが可能で、結局ほとんどの場所でQR決済が使えた。

Maps.me片手に天門山へ向かった。ここには天門洞という岩に巨大な穴が空いている不思議なところで、そのほかにも中国で流行った床がガラスでできた橋がある。自分のような外国人観光客は少なく、中国人観光客であふれていた。

張家界の中心地に天門山まで行くバス乗り場があり、1時間ほどウネウネした急な山道を爆走するバスで登った。中国と日本、見た目は所々似ているが、観光バスがこんなに速度を出して山道を走ることは無いだろうなと、日本との安全のラインが違うことを感じた。これは中国の至る所で感じることができるので面白い。

バスを降りた後は999段の階段を上り巨大な穴の近くまで。そこからは飽きるほど長いエスカレーターを登って天門山の上に出る。中国はいちいちスケールが大きい。

ひと通り天門山を観光し、ながーーいケーブルカーで張家界の街へ帰ってきたあと、薄暗い店で麻婆豆腐を食べた。調理には中華鍋と中華お玉を使っているところを見て、当たり前だが、中国っぽいなと思った。豆腐モリモリで、辛くてとろみの少ない麻婆豆腐は美味しかったが、ご飯の方は微妙だった。今回の旅行ではおかずとは別でバケツに入ったごはんが出されることが多かったが、どれも日本でいうと米炊きに失敗したごはんのようで、箸はあまり進まなかった。そんなことがある度に、日本のご飯は美味しいなあと実感する。

少し、張家界の街を散歩した。

張家界は空港もある大きな街であるが、知っていた店は駅前のマクドナルドとかの数店舗くらいで、通りにはカラフルな看板が並んでいてパッと見たらよくある通りのようだが、知っている店は何もなかった。見たことがないが故に、どのメーカーのロゴや看板を見ても、どうしても何かのパクリなのではないかとか、質が悪そうだと思ってしまう。

百貨店では、New Bunrenという絶対ニューバランスを意識した靴屋があったり、そうかと思えば、同じ百貨店の別のフロアで普通にNew Balanceの店舗があったりと、世界観に混乱した。日本だと百貨店の地下は食料品売り場で、明るく綺麗なフロアであるが、この百貨店の地下の食料品売り場は、少し生臭くて、薄暗くて、不気味だった。こんなところがたまらなく面白い。

そんなところではあるが、日本に比べてスマホを持っていれば使える便利なことが多いように感じた。

QR決済もただの支払いの代わりというわけではなく、店に入って席につき、机に貼ってあるQRコードから注文すれば店員が届けてくれる。わざわざカウンターで注文する必要すら無い。

また中国では、この時から日本にあるUber eatsと同じようなワイマイという出前を頼むことができるアプリが普及していて、スマホで注文すれば届けてくれる。街中では至る所で黄色い服とヘルメットを着たワイマイの配達員を何度も見かけた。さらに歩道には、これまたスマホを登録すれば簡単に使える赤いシェア自転車が散乱し、スマホひとつで色々と済んでしまうことが多く、驚いた。

そんなところも面白い。

張家界のバスターミナルから武陵源へ向かった。武陵源は世界遺産にもなっているところで高さ200mほどの奇岩が立ち並ぶ。世界遺産ということもあってか、ツアー客や外国人観光客も多かった。武陵源は一日では回り切れないほど広い。敷地内にバスが走り回っていて、地図を見て自由にルートを決める。それにしても、中国人のおじさんおばさんは元気である。バスの車内で大声で喋り馬鹿笑いしている。席が離れていても、僕を挟んで大声で会話を始める。何を言っているか全く分からないが、とりあえず楽しそうだった。中国には英語を話せる人は少ない。会話をする際、ゲストハウスの受付や若者は英語を使って伝えようとしてくれるが、大概の中国人は中国語でガシガシ話しかけてくる。中国のおじさんおばさんはメンタルが強い。

世界遺産がある国立公園の前にはホテルやレストラン、商店が立ち並んでていて整った町並みをしていた。武陵源にきて二日目の夜、夕食を食べるため適当に店に入った。名前は忘れてしまったが、今回注文した料理には牛肉と香菜、ぶつ切りにした唐辛子がたっぷり入っていた。嫌な予感はしたが、一口食べると口の中が痛くなり水を飲んでも熱くなるほど辛く、ヒリヒリした。これまでインドで辛いカレーは散々食べてきて、嫌になりながらも意地で完食してきた。ある程度の辛さには耐えられることはできる。それに海外で自分で注文した料理を残すことはしたくない。しかし、武陵源を歩き回り、お腹が空いていたにもかかわらず、この料理は食べることができなかった。申し訳なかったがほとんど残して支払いを済ませ、逃げるように店を出た。全くお腹を満たせてなかったので、別の店に入ってチャーハンのようなものを注文した。さっきほどではないが、なんかこれも辛かった。

あとで調べた話によると、これまた本当かどうかはわからないが、湖南料理は四川料理よりも辛く、中国一辛い料理らしい。

武陵源から鳳凰まで、またバスで向かう。鳳凰のバスターミナルから少し歩いたところに鳳凰古城はあった。いつの時代かは分からないが古い街並みが河を挟んで並んでいる。対岸は飛び石や虹橋で繋がれていて、どこを見ても画になる景色である。河と空気は綺麗とはいえなかったが、それもまた良い雰囲気だった。ここはいわゆる観光地で古い建物の中にお土産屋だったりレストランだったりがある。それでも外国人観光客は少なく、中国人の旅行者が多くいた。時期もあってか日本人には一人もあわなかった。

夜になると、川沿いの建物はライトアップされ昼間と様子も変わってくる。レストラン内でギターひとつでライブをしていたり、爆音が漏れ出ているクラブがあったりと古風な建物と対照的な風景で面白い。

いつものように特にすることはないので、街を歩きながら、店を見つけては買って食べてを繰り返した。観光地ということもあってここでも中国人であふれていた。回鍋肉、麻婆豆腐、刀削麺、牛肉麺、天心、などなど。油が多く辛い。どれも見たことがあるような料理だが、なんだかどれも本場の味がする。八角や花椒の味かもしれない。

鳳凰古城の近くで二泊したが、外を練り歩いて、ゲストハウスに戻って昼寝してのんびりし、また外を練り歩く、そんなことしかせずに過ごした。なにか特別面白いイベントが起こったわけではなが、昼も夜も騒がしい観光地の中に身を置くだけで十分な気がした。

バイト先に、沢山の中国土産をかっていった。刀削麺、臭豆腐、月餅、杏仁の味がするボソボソしたお菓子、麻婆豆腐の素、インスタント回鍋肉。

全てが不評で誰も食べようとしないので、出勤するたびにほとんど自分で食べた。